苦しい時や辛い時こそ、人を頼ったほうがいい理由―心理学から見える“つながり”の力─

苦しさや孤独を抱えているときほど、誰かに助けを求めるのはむずかしいものです。
「これくらい自分で何とかしないと」「迷惑をかけてはいけない」
そんな声が胸の奥からそっと湧き上がってきて、手が止まる。

でも心理学的に見ると、“頼ること”はメンタルの回復において、とても合理的で効果的な行動です。
むしろ、自分を支えるための一つのスキルと言ってもいいほど。

ここでは、その理由と「頼れなくなる無意識のブレーキ(ビリーフ)」をやわらかく解説していきますね。

目次

苦しい時、人は“思考の視野”が狭くなるから

ストレス状態にあると、脳は危険に備えるモードに入り、視野がぐっと狭まります。
これは進化の設計図みたいなものなので、誰にでも起こる自然な反応。

でも視野が狭くなると、
「他の選択肢に気づけない」
「本当は助けてもらえる状況でも、助けを求めるという発想が浮かばない」
ということが起きやすくなります。

人に話すことで、外側から“思考の酸素”が入ってくるんですね。
すると、不思議なくらい息がしやすくなります。

感情は“共感”によって落ち着く仕組みがある

脳科学でも分かっていることですが、つらさを言葉で外に出して、それを誰かが受け止めてくれると、扁桃体の反応(不安・恐れ)が落ち着きやすくなります。

誰かが「そっか、しんどかったね」と寄り添ってくれるだけで、身体の緊張がゆるむのはこのためです。
つまり、頼る=感情の安全地帯を作る行為。
ちょっと勇気のいる一歩ですが、その一歩が回復への最短ルートになることも多いんです。

“関係性の中”で人は回復するようにできている

心理学では、苦しさを乗り越える力(レジリエンス)は“つながり”によって大きく育つと言われています。

人間は「分かち合う存在」として進化してきたので、本来はひとりで背負う設計にはなっていません。

頼ることで、
・負荷が分散される
・新しい視点が入る
・心の安心が増える
という、回復の3点セットが自然と起こります。

では、なぜ頼れなくなるのか?

頼れない人は、性格が強いからでも弱いからでもありません。
多くの場合、幼少期や過去の経験から生まれた「ビリーフ(思い込み)」が無意識のブレーキになっています。

例えば──

  • 「迷惑をかけてはいけない」
    小さな頃、頑張るほど喜ばれたり、逆に甘えると拒まれたりした経験があると、“自分の気持ちは後回しにするクセ”が身につきます。
  • 「弱音を見せたら嫌われる」
    本音を出したときに傷ついた経験があると、自分を守るために感情を隠すようになります。
  • 「私は大事にされない」
    頼ろうとしたときに応えてもらえなかった経験が、“どうせ助けてもらえない”という無意識の結論を作ります。
  • 「自分は強くなければいけない」
    強さを求められて育つと、頼ることが“敗北”のように感じてしまうこともあります。

これらはすべて、かつての私たちが生き延びるために身につけた戦略。
責める必要はひとつもありません。
ただ、今のあなたにはもう必要のない“古いプログラム”かもしれません。

ビリーフがゆるむと、“頼れる自分”が自然に育っていく

ビリーフチェンジの良いところは、「無理に行動を変えなくても、心がほどけると行動が変わる」こと。

たとえば「迷惑をかけたらいけない」というビリーフがゆるむと、誰かに相談することが“迷惑”ではなく“関係が深まる瞬間”として感じられるようになります。

心が変わると、行動は自然に変わります。
これは本当に魔法みたいにやさしい変化です。

さいごに──頼ることは弱さではなく、成熟のサイン

大人になると、“ひとりで頑張ること”が強さの証のように扱われがちです。
でも実際には、自分を大切に扱い、必要なときは助けを求められる人のほうが、心はずっとしなやかで強い。

そして、頼ることを許した瞬間、世界は思った以上にあなたの味方だったことに気づきます。

もし、「頼りたいのに頼れない」と感じることが多いなら、そのブレーキになっているビリーフを一緒にほどいていくこともできます。

必要な時は、どうぞ遠慮なく声をかけてくださいね。
あなたのペースで、あなたの心が軽くなる方向へ。







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