手を離したときに、人は満ちていく―「満たそうとするほど満たされない」理由―

何かが足りないと感じたとき、私たちは自然と、それを埋めようとします。
もっと頑張る。
もっと得る。
もっと整える。
けれども、不思議なことに満たそうとするほど、満たされない感覚が続くことがあります。それは、本当に足りていないからではなく「まだ終わっていないもの」があるからかもしれません。
終わっていないものが、今を引き止める
これまでの経験の中で
・我慢してきたこと
・飲み込んできた感情
・守るために続けてきた反応
それらが未完了のまま残っていると、人は無意識にそこへ引き戻されます。
頭では前に進もうとしているのに、どこかで同じ場所をぐるぐるしてしまう。
この状態は「努力不足」ではなく、単に「完了していない」だけのことも多いのです。
手を離すと、空白が生まれる
何かが本当に終わったとき、私たちはそれを手放すことになります。
それは軽さをもたらしますが、同時に少しの寂しさや、ぽっかりとした空白を感じることもあります。
これまで握っていたものが自分の中から静かに離れていく感覚です。
多くの場合、この空白に不安を感じてすぐに何かで埋めようとしてしまいます。
満ちるのはそのあと・・「ほどけること」
けれども、その空白をそのまま通ったとき、内側からじわっと満ちてくるものがあります。
安心のような、静かなエネルギーのような感覚。
それは外から与えられるものではなく、もともと内側にあったものが現れてくるような感覚です。
そして、その満ちてきたものが次の一歩の原動力になっていきます。
満ちるというと、何かを得ることのように思えますが、実際には逆で、何かを足した結果ではなく、握っていたものがほどけた結果として起きるものです。
だからこそ、満たそうとするほど満たされない、という現象が起きるのです。
自由になると、選べるようになる
もうひとつ大切なことがあります。
この「満ちていく」感覚を知っていると、人は、いつでも手を離せるという感覚を持てるようになります。
すると不思議なことに、逆に「握る」こともできるようになります。
それは、しがみつくのでもなく、無理に手放すのでもない、ただ「選んで関わる」という状態です。
関わることも、離れることも、どちらも自由である状態。
進めないときは、満たす前に「終わらせる」
もし今、
・満たされない感覚がある
・前に進めない感覚がある
そんなときは、何かを足す前に、「まだ終わっていないものは何か?」と、少しだけ立ち止まってみることもひとつです。
変わろうとする前に、終わらせる。
終わると、自然に満ちていきます。
そして満ちてきたものが、次の流れをつくっていきます。
満ちるとは、何かを得ることではなく、自由になることなのかもしれません。
手を離したとき、私たちは軽くなり、そしてそのあとに静かに満ちていくのだと思います。
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