癒しと頑張りは、両立する。― 頑張るための燃料が変わるとき ―

「今の自分を受け入れることと、今の自分を超えていくことは両立する」
「今を満たすことは、未来を諦めることじゃない」
頭では理解できても、どこか難しく感じるのが「癒し」と「頑張り」の関係です。

癒されたら、頑張れなくなるのではないか。
今の自分に満足したら、向上心を失うのではないか。
そんな不安を感じる人もいます。

でも、本来、癒しと頑張りは両立するもの。
もちろん、休むことを優先したい時期もあれば、何かに全力を注ぎたい時期もあります。
両立するとは、いつでも同時にできるということではなく、どちらかを選んだからといって、もう一方を諦める必要はないということ。
では、なぜ癒されることに抵抗を感じるのでしょうか。

目次

その頑張りは、何に支えられている?

「認められたい」
「負けたくない」
「価値のある自分でいたい」
「もっと頑張らなくちゃ」
そんな思いを原動力に、頑張ってきた人は少なくないでしょう。
私自身もそんな頑張りで人生を切り開いてきた一人です。

悔しさや不足感が、大きな力になることもあります。
ただ、頑張ることが自分の価値と結びついていると、話は少し変わってきます。

頑張っていない自分には価値がない。
そう感じている人にとって、頑張ることは自分を安心させるための手段にもなっています。
頑張りたいから頑張ることと、頑張らずにはいられないのは、似ているようで違います。

頑張ることでしか安心できない人は、不安や恐れに駆り立てられ、頑張り続けてしまう。
だから、癒されることさえ怖くなる。
今まで自分を動かしてきた原動力がなくなったら、自分はどうなってしまうのか。
頑張らなくても大丈夫だと、まだ信じられないからです。

満たされたら、頑張れなくなる?

でも、本当にそうでしょうか。
満たされていても、もっと知りたいと思う。
幸せでも、新しいことに挑戦したくなる。
今の人生に満足していても、まだ見たことのない景色を見たくなる。
人間には、不足を埋めること以外にも、自分を動かす力があります。

好奇心。
創造する喜び。
誰かへの愛情。
まだ知らない世界への憧れ。

何かが足りないから頑張る。
そんな頑張りもあれば、ただ「やってみたい」から動き出すこともあります。
どちらが正しいという話ではなく、大切なのは、その頑張りが自分を縛りつけるものになっていないかということ。

そして、ここには一つの落とし穴があります。
「満たされたら頑張れなくなる」と信じていると、自分が満たされることにまでブレーキをかけてしまうこと。

幸せになりたくて頑張っているのに、幸せを十分に受け取れない。
何かを手に入れても、その喜びを味わう前に、また次の不足を探してしまう。
なんとも切ない話ですよね。

立ち止まる時間にも意味がある

不足感や不安、悔しさを燃料に走ってきた人が、その緊張から解放されると、一時的に、
「もう頑張りたくない」
「このままでいたい」
と感じることがあります。
それは、これまで満たされなかったものを、ようやく満たしている時間なのかもしれません。

ずっと走り続けてきた人が、初めて安心して休めるようになった。
頑張らなくても、自分には価値があると感じられるようになった。
そんな時間を味わうことも大切です。

そして、十分に休んだあと、また何かを始めたくなる人もいます。
一方で、これまで追いかけていたものが、もう必要なくなったと気づく人もいるでしょう。
癒しによって、自分の望む生き方が変わることもあるのです。

走ることも、立ち止まることも

頑張ることが好きな人もいます。
何かに挑戦することに喜びを感じる人もいます。
どちらかというと私も、その一人かもしれません。

だからこそ、癒しの先に「頑張らない人生」だけを描くことには違和感があります。
一方で、再び頑張ることを目標にする必要もないのでしょう。
大切なのは、自分にとって何が喜びなのか、何を大切にしたいのか。

もちろん、現実には頑張らなければならない場面もあります。
生活のため、家族のため、自分が引き受けた責任のため。
そんなときに踏ん張る力も、人生には必要です。

ただ、頑張ることと、自分の価値を証明することは別の話。
頑張らなければ安心できなかった人が、安心しているからこそ走り出せるようになる。
あるいは、立ち止まって景色を楽しめるようになる。
走り続けなくても大丈夫だと知ることと、もう一度走り出したくなることは、矛盾しません。

癒しによって、頑張るための燃料が変わることもある。
そして、走り方そのものが変わることもある。
今の自分を大切にしながら、まだ知らない自分にも出会っていく。
癒しと頑張りは、そんなふうに両立していけるのだと思います。









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